【出版体験談③】ライターとしての試練と希望

ライター業を始めた当初の私は、試練の連続でした。しかし、その困難の中にこそ学びや希望がありました。このエピソードでは、私がライターとして最初に経験した困難と、それを支えてくれた人々の言葉についてお話しします。
ライター業のスタート
会社を辞めた私は、すぐに本の執筆をスタートさせました。テクニカルライターとして、難しい技術をわかりやすく伝えるという高度なスキルが求められる仕事でしたが、正直に言うと、当時の私は文章力に自信がなく、スタート地点に立ったばかりでした。
師匠の助けを借りて、模写を通じた文章修行を始めました。模写は文章力を磨く近道であり、特に師匠がリライトした文章を再現する過程は非常に学びが多いものでした。そうして私は、師匠との共著として3冊の本を出版する機会を得ましたが、決して順調な道のりではありませんでした。
師匠の支え
師匠からは、「ライターとしての個性はあるよ」と評価されましたが、同時に「文章はライターとして致命的だよね」と厳しい指摘を受けました。この言葉を聞いたときはショックで落ち込みましたが、自分でも「確かに」と納得できる部分もありました。師匠は私の未熟な部分を具体的に指摘しながらも、改善の余地や方向性を示してくれました。
例えば、文章における読者目線の欠如や、情報の過不足について具体例を挙げて説明してくれたのです。そして、「これが直れば、もっと良いライターになれる」という希望の言葉も添えてくださいました。こうしたアドバイスがあったからこそ、自分の弱点を受け入れ、前に進む勇気が湧いてきたのです。
試練を乗り越えて
文章が未熟で落ち込むこともありましたが、「文章は技術」という信念を胸に努力を続けました。周囲の支えと自分の決意が、ライターとしての道を切り開いてくれたのです。この経験がなければ、今の私はいなかったでしょう。
そんなある日、師匠の本を担当していた出版社のSさんから連絡がありました。私は何を言われるのかと不安になりながら出向くと、彼はこう言いました。
- 「あなたの原稿は荒削りだけど、解説のセンスは素晴らしい。一人でやっていけますよ。」
- 「独立したのだから、自分の本を出していくことを考えたらどうですか?」
喜んでいいのか悲しんでいいのか複雑な心境でしたが、その言葉は私にとって大きな励みとなりました。Sさんは、「まだ今の状態ではお願いできないけれど、版元を紹介するからそれを足がかりにして頑張ってほしい」と提案してくれました。
前に進む決意
Sさんと師匠からの「センスがある」「個性がある」という言葉に支えられ、ライターを辞める理由などないと気づきました。文章は技術であり、努力次第で上達できるのです。この経験をきっかけに、私は「次はこの出版社で本を出せるライターになる」と決意しました。
挫折しそうな中で受け取った救いの言葉。それが私を動かし、ライター生活の新たなスタートを切らせてくれたのです。
おわりに
この一連の「ライター物語」は、以前に書きかけていたものを今回リライトしました。ただ、この先の物語は綴られておらず、記憶が曖昧な部分も多いため、ここで一旦締めくくりとします(笑)
これまでを振り返ると、本当にさまざまなことがありました。結果として、自著で43冊、会社名(当時はオフィスヒマワリ)での出版が17冊、合計で60冊の本を執筆することができました。
これ以上出版できなかった理由については、メンタル面での限界もあったと記憶しています。当時は若さと体力で駆け抜けることができましたが、今同じことをやれと言われたら、正直難しいでしょう。
それでも、この期間に得た多くの学びや経験は、今も生かされ続けています。そして、それらが今の仕事につながっていることを実感しています。「芸は身を助く」とはよく言ったもので、まさにその言葉を体現しているようで、今があります。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
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