【本の企画の作り方】マーケティングとは何かを知ることは、良い本を書くための第一歩である
それには、ちょっとマーケティングの知識をおさらいしていきましょう。
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マーケティングって本当はどういう意味?
「マーケティングマネジメントを「ターゲット市場を選択し、優れた顧客価値を創造し、提供し、伝達することによって、顧客を獲得し、維持し、育てていく技術及び科学」と考える。
マーケティングは「製品を売り込む技術」とされることが多かったが、マーケティングの最も重要な部分はセリングではない。マネジメント理論の第一人者であるピーター・ドラッカーは言う。「マーケティングの狙いはセリングを不要にすることだ。マーケティングの狙いは顧客を知り尽くして、製品やサービスが顧客とぴったりと合うものになり、ひとりでに売れるようにすることである。理想をいえば、マーケティングの成果は買う気になった顧客であるべきだ。そうなれば、あとは製品やサービスを用意するだけで良い。
「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント(基本編)」より引用
こんにちは、マーケティング出版コンサルタントの環木琉美です。
冒頭から、コトラー&ケラーのマーケティングの教科書からマーケティング理論を引用したのは、「本の出版」を考えていく上で大切な考えかたになるからです。
この理論では、マーケティングは、「もはや製品を売り込む技術ではない」と言っています。
しかし、実際にどうでしょうか? メルマガ、SNSの投稿やブログには製品を売り込む内容のものがたくさんあり、うんざりとすることがありませんか?
製品を売り込むことがマーケティングだと考える方が多いのか、知識がないからなのかわかりませんが、宣伝ばかりの情報を流している方は多いです。
特に、ネットで目立っている集客コンサルタントの指導を受けている方によく見られるのは、自分の売り込みだけなく、同じ仲間の商品の売り込みです。毎日のようにアップされるのが見受けられます。
それ自体が良い悪いと言うのではないのですが、良いコンテンツを持っていることを知っている相手がそれをやっていると、残念に思うことがあります。
実は、これは、本の出版にも同じことが言えて、販売促進などを目的とした書籍の中で、商品をガンガン売り込むことはおすすめできないのです。
サービスに興味があるのに、サービスを受ける決定打を与えられない潜在的な見込み客が思うこと
そこで、もう少し説明をしていきます。まず、マーケティングの顧客について、確認していきましょう。
マーケティングの細かくをこの記事で述べることは難しいのですが、商品やサービスをこれから提供するターゲットとなるお客様は、主に次の4種類に分類できるということを知っているだけでも、考えやすくなります。
- リピータ・ファン/何も言わなくても買ってくれる人、既存客。
- 見込み客(もうすぐお客になる)/商品にある程度興味をもって、商品やサービスを購入するタイミングを待っている人。
- 見込み客(お客になるかどうかは未定)/あなたの商品やサービスを何かのきっかけで知った人。あなたのことを全く知らないことがほとんど。
- 除外客/あなたの商品やサービスには関係ないと思っている人(興味がない)
まず、私達が、新規顧客を得ることが目的て商品やサービスを提供する場合、一番に考えていかなければならないのは、2や3の見込み客の存在です。
ですが、実際には、商品を1や4の人に一生懸命売ろうと考えてしまう人も少なくありません。
まず、1.リピータ・ファンは、宣伝しなくても商品やサービスへの理解がありますから、一生懸命にアプローチして売り込む相手ではありません。1の人に対しては、つながりを持っていけるように「継続」した関係を築くことに意識をしていけば良いでしょう。
で、4.除外客は、そもそもあなたの商品やサービスに対して必要が無い、興味がない人ですから、アプローチする必要はありません。
しかし、やたらにSNSで人とのつながりが簡単にできてしまう時代ですから、つながった相手に自分のサービスを売ろう一生懸命になっている方も少なくありません。
リアルな場で言えば、異業種交流会などの場で名刺交換をして、ひたすら知り合った相手に営業をかけていくことは、数打てば当たるかもしれませんが、有意義に見えて、実は、まったく畑違いの人に営業をかけていることもあるでしょう。
大切しなければならないことは、2や3の見込み客に対して、顧客になってもらうためのアプローチをすることです。ここに力を入れることが一番手堅く行ける方法です。
2.見込み客(もうすぐお客になる)は、すでに商品やサービスに興味を持ってて、購入する機会を伺っていますから、将来のお客様になる最も近い人たちです。
3.見込み客(お客になるかどうかは未定)は、あなたの商品やサービスを知っているので、将来のお客になる可能性を秘めています。
では、どんアプローチが有効になってくるのでしょうか?
見込み客の立場にたってマーケティングを考えてみる
そこで、見込み客の立場でみていきましょう。
たとえば、私は今、「今までの自分のメイクをなんとかしたい」と思っているとします。そして、メイク講座を開催しているAさんをネットで見つけて、そこに参加しようかどうか迷っています。
私の最近の悩みは、ある程度年齢を重ねて、若い女性向けのメイクが似合わなくなってきているので、年相応なメイクでもっと輝きたいということです。ただ、早急に、というわけではなく、なんとなく学べたらいいなあ、と思っている程度です。顧客グループでいえば、どちらかというと2の状態に近い3の状態です。
Aさんは、年の頃も同じで、SNSでは、彼女の自撮り写真や楽しそうな活動がアップされます。
きっと参加したら楽しいだろうな、と思う反面、どうも今ひとつ行動に移せません。
講座の場所や時間などは問題はないのですが、金額がやや私の感覚よりも高めです。だからちょっと考えています。
もしかしたら、Aさんよりももっと良いメイク講座もあるかもしれない、とリサーチをかけようとも考えています。しかし、急いでいないので、様子見の状態が続いているのです。
実際のところ、、Aさんの講座に参加する気持ちになれないのは、決定打となる情報が無いからなのです。
その講座を受講したら、自分がどう変われるのか、自分の悩みが解消できるのか、というところが見えないのです。
だから、もう少し、「Aさんを信頼して申込みができるための」情報がほしいと思っています。
情報を得るために、AさんのWebサイトやSNSなどをチェックするのですが、まったく自分の悩みに答える情報はありません。
Webサイトへ行くと、とても素敵な作りになっていて見栄えは良いのですが、サービスの紹介はあっても、自分が求める情報は書いてありません。
注意深くfacebookやtwitterなどの情報を追ってみても、流れてくる情報は、私が求める情報ではなく、「Aさんの活動が主体の内容」ばかりで、決定打にならないのです。
しかも、投稿は、自撮りの写真、講座のクライアントとの集合写真、それと、集客プログラムに参加しているのか、お仲間のビジネス紹介といった内容ばかりで、ずっとチェックしていても、一向にメイクに役立つ情報がアップされることはありません。
Aさんは、見込み客が周囲にたくさんいるとういことに気が付いていないのです。
もちろん、SNSの使い方は自由ですからどんな使い方でも問題ありません。しかし、仕事の性質として自分の周囲にいる同年代の女性のほとんどをターゲットにできるのですから、このチャンスを生かさないというのは勿体ないですね。
集客プログラムに参加しているのですから、おそらくそちらのお仲間経由でのお客様は存在するのでしょう。
が、それは却って、情報の発信の仕方次第では、知らずに周囲の見込客を除外していることにつながっているかもしれません。
では、私が、具体的にどんな情報を与えてもらったら行動を起こすのでしょうか。
それは、自分のメイクに対して抱いている潜在的な悩みに答えてくれたときです。
だいたい、専門的な知識を持ち合わせていなければ、メイクは我流です。1度や2度、若い頃にメイクを教えてもらったことはあったにしても、年齢とともに悩みも変化してきます。
そんなときに、ドンピシャで私の悩みを解決できるヒントを、Aさんが情報として流していたら、メイク講座に行こうという気持ちになるかもしれません。
こういった顧客の立場にたって考えると、Aさんがマーケティングとしてやるべきことが見えてくると思うのです。
いつもいつも、自分の宣伝ばかりだと、見ているほうはウンザリしてくるものです。
でも、それに対しては誰も指摘はしないでしょう。よほど、友だち思いの友人ぐらいしか、そんな事実を指摘してくれることはありません。
だから、宣伝をし続けると、顧客グループとして2や3の状態の人が、4に流れてしまうことは十分にありえます。
見込客の不安や疑問にあらかじめ答えていくと自然とお客様になってくれる
話を元にもどせば、マーケティングは顧客の視点に応えることだと言えます。
では、顧客のリサーチをどうすればいいのか、ということは、やはりクライアントの立場になって考えてみることが大切です。
実際に受講生からメイクの悩みを聞いてもいいですし、すでに、メイク指導をした複数のクライアントが悩んでいたことが何だったかを整理すれば、顧客の不安や疑問を解決するための情報が見えてくるはずです。
それを発信していけば、必ずその情報を求めている人がやってきます。あなたの前にお客様がやってきたとき、すでに、お客様はあなたの情報によって知識を持っている、優良な顧客であるはずです。
ですから、今の時代は、どんどん情報を出すことで選んでもらえるのですから、出し惜しみはかえって良くないです。もはや、情報の海の中にいるわたしたちが情報を選択するには、情報が必要だということです。
確かに、自分の技術や知識をむやみやたらに人には伝えたくないという気持ちはあるのかもしれませんが、実際、知識を得た人がそのとおりに実践できるとは限りません。
いくらAさんのメイクの技術を情報として教えてもらっても、実践でそのとおりにうまくできるかどうかは別なのです。
だとしたら、人は、きちんとできるようになりたい、という気持ちがわきますから、Aさんの講座にも参加しなければ、という気持ちにつながるのです。
「読者」イコール「見込客」
前振りが長くなりましたが、本を書くときも、このマーケティグの知識は重要です。
結局、あなたのお客様に情報を伝えるツールが本になっただけであり、お客様の姿は同じです。
ですから、考え方は、読者の目線で本の企画を考えるのです。
本が、あなたの「売りたいオーラ」が満載だったら、やはり、読者は前述した見込客となった私と同様な感情を抱くのです。
しかも、読者は情報を得るのにお金を出して本を買っているので、このように売り込みをガンガンかけられたら、著者に対して良い印象をいだきません。
本を通じて読者に伝えることは、読者がかかえる不安や疑問、問題点を解決することなのです。そして、その先に、あなたの商品やサービスが、解決するツールであり手段であるというアプローチをするのです。
お客様を知ることが、本の企画を考える大元である
つまり、ビジネスでマーケティングを意識して書く本は、ターゲット設定がとても大切です。
まず、何を目的として、誰にアプローチをするかを絞り込むことが大切です。
これは、ターゲットにするお客様が、新規顧客が既存顧客かによってアプローチは変わります。
本を書くのですから、たいていは新規顧客(見込み客)の集客の入り口となることのほうがほとんどでしょう。
すると、その本の存在を知った人に将来のお客様になってもらうには、どのような情報を与えていけばいいか、に焦点をあてていくことが大切になるのです。
実際、冒頭文に、
マーケティングは、製品を売り込む技術ではなく、むしろ、「顧客を知り尽くして、製品を買う気にさせる」
とあるように、本を書く前に、ターゲットとなるお客様をリ徹底的にリサーチすることです。
前述したAさんの事例では、Aさんが新規顧客のターゲットを「40代後半以降の女性」と設定したとしましょう。
そうしたら、その年代の声を拾うのです。
たとえば、この年代ならば、つぎのようなことに悩みを持っているかもしれません。
- 今の時代にあう眉毛の書き方がよくわからない
- 素肌がきれいに見えるメイクにしたい
- アイシャドーやチークで老け顔にならない色を選びたい
- シワやシミを隠したい
など
じゃあ、そういった悩みを解消するには、何を伝えてあげればいいかを考えていくのです。
そして、それぞれの実際のメイク技術にどんなやり方があるのか、あるいは、どんな心がけや日頃のケアがあるのか、といったことを、Aさんの視点で、疑問に応えるように情報を整理していくのです。
すると、「老け顔にならないメイク術」、「素肌美人に見えるメイク術」、「若返りメイク術」といったテーマが見えてきそうです。
そうしてテーマに沿った情報を与えていくと、本を読み終えたころには読者はAさんのファンになっている可能性が高くなるでしょう。
しっかりとした情報を与えられれば、相手を信頼するのが人というものだからです。
自分の商品やサービスを自身できちんと理解し、自信を持とう
ただ、実際に考え方はわかっても、日頃からお客様目線を意識できていなければ、言葉をつむぐことが難しくなるかもしれません。
自分のビジネスの商品やサービスについて、本当の意味できちんと整理して理解できていなければ、お客様の視点を考えることは難しくなるでしょう。
たとえば、前述したメイク専門家のAさんがどれだけ自分の技術を駆使して、素晴らしいメイクをする人だったとしても、メイクをして自分の技術を披露するだけでは商売にはならないのです。
自分の専門性に自信を持って、どのようなお客様にどう生かしていくことができるのかを考えてサービスを提供することが大切です。
すると、自然とお客様に対してどのような情報を与えていけばよいのかわかることでしょう。
ですから、本の企画を考えるときには、あなたの商品やサービスのターゲットを今一度見直していきましょう。
あなたの専門性の中でも、あなたが一番自信を持てるところはどこか、あなただからこそ提供できることはなにか、といった強みの部分を武器にしていけば、良い本の企画になっていくことでしょう。
投稿者プロフィール
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マーケティング出版コンサルタント 環木琉美(たまきるみ)
ペガサス出版代表
2013年より電子書籍出版サービスを開始し、特に本の執筆支援を得意とする。テクニカルライターとして過去に商業出版で総部数60万部を出版。豊富な出版経験を活かして、現在は、起業家や小さな会社向けにターゲットを絞り、販売促進の本を提案している。情報化時代の信用・信頼につながる本を、ブログを書くように普通に皆が書けるようになる時代が来ることを願っている。
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