マーケティングの本を書くのに商業出版は最適?

こんばんは。マーケティング出版コンサルタントの環木琉美です。

来年4月の出版を目指した出版コンサルティングが始まっています。

「事業で新しいターゲットに向けたマーケティングのために書く本」を今コンサルしています。

すでに、しっかりと伝える材料が整っている状態であれば、本づくりはより明確な方向性を打ち出せます。

マーケティングには、商業出版が最適にならない理由

会社を経営していたり、個人でも事業を起こしたりしていると、「本を書きたい」と思う人は少なくありません。

このとき、どんな本を書きたいか、にもよりますが、ビジネスの集客であったり、新しい顧客改革をしたいといったマーケティングを考えた場合は、商業出版はあまりおすすめできません。

なぜならば、自分のビジネスのマーケティングを目的とすると、商業出版で求められるターゲットと、自分のビジネスのターゲットが、随分と違ってくるからです。

何年か前に、一時、ビジネス書のバブル期が到来したことがありました。

ここで、多くの経営者や起業家が、本を出版しました。もちろん、それで潤った人もいたでしょう。

本を出せば売れる時代というのは、出版社もどんどん新しい本を出したがりますから、著者がいればどんどん書いて出していくものです。

もっとも、結局、バブルですから、やがて需要と供給のバランスが崩れて弾けてしまいます。今は、もはや紙の本は売れない、出版不況と言われていたのも通りこして、「業界縮小」という状態が起こっています。

もはや、商業出版で求められる本は、本当に数多くの人が求める内容か、今まで誰も書いたことがないような非常識な内容のものであるのかもしれません。

さらに、ご意見番として多大な影響力がある有名人、ホリエモンやキングコングの西野さん、池上さんや林先生といった、「あの人の言う事ならば聞こう」という、圧倒的な支持を持っている人の本ですね。

そんな状況はわかっていも、それでも、本を書くことを夢みる人は少なくありません。

やはり、自分の本が書店に並んで人目に触れることは、何事にも代え難い興奮があります。

実は、そこに憧れる人は数多いので、今でも、本を出すならば商業出版で、と考えている人は少なくありません。

でも、私は、ここが1つの盲点だと感じています。

あなたは誰に何を伝えたいのか?

ビジネス書のバブルがはじけたからといって、本を出版できないということではありません。

出版社が存在する以上、本を出版するニーズがありますから、本を出したければ出版社にアプローチすることは可能ですし、企画が通ったら、めでたく本を出版できるわけですから、チャレンジする価値はあるかもしれませんね。

ただ、本の目的を考えた時、マーケティングとしての本のターゲットは、どこにあるのでしょうか?

実は、私が盲点だといったのは、この「ターゲット」の部分なのです。

あなたが実際に、自分の商品なりサービスを買ってもらいたいと潜在的に求めている顧客と、商業出版として出版される本のターゲットとなる読者にはズレが必ず出てくるのです。

なぜならば、商業出版の目的は、「より多くの人に本を読んでもらうこと」と、出版社にしたらズバリ、「本を売る」ことです。

すると、商業出版の本に求められるものは、「世の中の多くの人が求めている内容」でなければなりません。

つまり、出版するには、ある程度の数字が読めないと企画そのものが成立しないのです。

ですから、テーマが、たとえば、心のこと、病気のこと、サラリーマンの仕事のこと、といった圧倒的数多くの人が抱えるものであれば、商業出版を活用できる確率は低くはありません。

しかし、テーマが、たとえば、「社長向け」のものとしたらどうでしょう。サラリーマンの人数に対して社長の数はグンと減ります。すると、それだけ読者対象は減りますから、社長向けに取り上げるテーマをより工夫していく必要が出てきます。

そして、いくらターゲットが数多く見込めるものであったとしても、より多くの人を引きつけるアプローチができなければ、本は売れません。

果たしてそのとき、出版社が数字を出すことを目的とした内容と、あなたが目的とする内容が一致するかといったら、ターゲット層が狭くなればなるほど難しくなっていくものなのです。

専門家であれば本は出しやすいのは事実ですが、自分のビジネスのマーケティングを考えた上での出版を考えると、商業出版は必ずしも有益とは限らないのです。

本が出せないということではありません。

本をたとえ出せたとしても、それがダイレクトにあなたのビジネスに直結させることができるかどうかというのが、難しいということです。

PC解説書がPC教室のテキストにはならなかった理由

1つ私の実例を挙げます。

実際、私も過去にIT系の書籍(パソコン解説書)をたくさん書いてきました。

私は、作家として活動をしていて、目的は、「本を通して、読者にPCに関することを学んでもらう」ことでした。

でも、あるとき知人から言われたことは、「PC書籍は、PC教室のテキストにすると、もっと入り口の部分が書いてなかったりするんだよね」と。

そのとおりです。

ターゲットが違うから、PC書籍をそのままPC教室のテキストとして使うには無理があります。

また、市販されるPC書籍は、やはり「売ること」を目的としていますから、機器やアプリのマニュアルではないのです。

PC教室では、ゼロから必要なことを教えていく体系的な内容が求められますが、PC書籍は、ターゲットを絞り込んで、それに合わせてテーマもグっと絞って書いていますから、PC教室に来る生徒と、本の読者ターゲットは当然異なってきます。

PC書籍は、独学で本を読みながら専門知識を学びたい人に向けて書いていますから、内容もターゲットに合わせて調整するわけです。

ですから、使って使えないものではありませんが、PC教室で使うには、あれが書いてない、これが書いていないということになるのです。

このように、本の目的そのものが違ってくるので、皆さん自身のビジネスのマーケティングにおいて、商業出版が最適とは言えないということなのです。

また、難しいのは、初めての出版では、必ず自分が書きたいと思っていたことが書けない、という現実にぶちあたります。

これは、自身の文章力や表現力によるところもありますが、先に述べたとおり、商業出版の目的そのものが違い、出版社から求められるものが異なってくるからとも言えるのです。

むしろ、商業出版で勝負するならば、自分のビジネスを確固たるものにして、専門家として強い立場で書き、出版社を動かすぐらいの気持ちでチャレンジしてほしいです。

言葉を変えると、著者主導で本を書く体制を作らなければ、自分が書きたい内容を書くことは難しいということでもあるのです。

「誰に」「何を」伝えるかを考えてから、必要ツールを考えよう

結局、ビジネスのマーケティングは、「誰に」、「何を」伝えるか、をしっかりと詰めることが大切です。

ここを突き詰めていくと、本でマーケティングをするとしても、「伝えたいことを制約なく書く土壌」がなければなりません。

商業出版は「数字」ありき。著者が思ったことを自由に書けない

すると、やはり商業出版では縛りがありすぎるのです。

また、著者は編集者を頼りにしがちですが、編集者は、一社員でしかなく、ビジネスのプロではありません。

会社の一員として、自分が担当する本の方向性や内容をコーディネートすることはできるかもしれませんが、あなたの会社のマーケティングのコンサルはできません。

たとえ、あなたが、「いやいや、Aというターゲットにあてて、こういう内容にしたいのです」と言ったところで、数字が見込めなければ、編集者は、「いやいや、これはBというターゲットにして、こういうアプローチにしないと、企画を通すのは無理です。」ということになるのです。

だから、出版社の社員である編集者は、出版社で売る本を編集する編集者でしかなく、ビジネスコンサルタントではないということです。

もちろん、中には有能な編集者がいますから、著者の意向を組んだ企画を考えられる人もいるかもしれませんし、著者の求める企画と、出版社が考える世間のニーズがマッチングすることもあります。それでも、まずは、本が売れるかどうかを判断する「数字」を出せるかどうかです。

マーケティングで本を書く目的は、数字ではなく「営業」

一方、マーケティングで使う本の目的は、本を売って数字を上げることではありません。

「その本を読んでもらって、商品やサービスについて理解してもらい、最終的にサービスを購入してもらう」ということが目的になります。

つまりは、「営業ツール」です。

たとえば、いつもセミナーを開いて、自分が毎回同じことを説明していることがあるとしたら、それを本に書いてしまったほうが、断然広がるのです。

そして、いちいち説明しなくても、「本を読んでください」と言えます。

また、勝手に本を読んで、「感動しました!このサービスが受けたいです」と向こうからやってくることだってあるのです。

毎回セミナーで限られた人数にしか伝えられないことを続けるのではなく、その役割を本に担ってもらって、あなたは本を広めるための活動に時間を使えば、より広まります。

本を広めるための活動とは、今の時代ならば、ブログやSNSといったツールを活用して情報発信をすることです。

結局、すべては、「誰に」、「何を」の部分を突き詰めていけば、自然とどんな方法が一番良いかはわかるはずです。

書店に本が並ぶという理想に惑わされないようにしたい

商業出版は、やはり多くの人を魅了します。自分の本が書店に並んだら、やはり嬉しいでしょう。知人が本屋であなたの本を手にしたら嬉しいはずです。

しかし、マーケテングを考えた本を書きたいのに、その喜びを得ることが目的なのでしょうか?

このように考えていくと、マーケティング出版の位置づけがよくわかると思います。

電子書籍とPOD出版はマーケティングに向いている

以上のように、マーケティングと商業出版について考えていくと、どう考えても、商業出版とビジネスは結びつきにくいです。

私がまさにそのとおりで、商業出版をするノウハウや本を書くノウハウも持っているのに、ビジネス活用において商業出版を考えないのは、自分が伝えたいことと商業出版がマッチングしないからなのです。

もしかしたら、「本を書く」ことがもっとブログを書くことぐらいに一般的に浸透する時代が来たときには、ここだ!と思って商業出版に挑戦をかけていくかもしれません。

それでも、挑戦をかけるときは、もっと大きな支持を得てからにしたいですね。

それよりも、自分のクライアントとなる人に対して、伝えていく方法は今やたくさんあります。

ブログでも、Webサイトでも、SNSでも良いのです。自分の情報発信が簡単にできるツールは出揃っていますから、それを駆使していくのが手っ取り早いです。

さらに、身近になった電子書籍やPOD出版を使って、セルフパブリッシングという形で、伝えたいことをまとめて伝えることができます。

電子書籍やPOD出版は、伝えたいことを自由に伝えるにはとても適したツールです。

本が売れるか売れないかは、やはり、著者自身がどれだけ情報発信して宣伝できるかにもよります。

しかし、もはや情報発信をしなければビジネスが成り立たない時代ですから、本を出したら、自分で宣伝していくことはあたりまえのこと。

商業出版でも同じ。本屋に並べるだけでは本は売れない時代です。著者の発信があって、また、著者の出版セミナーがあって、人を動かして初めて本が売れるのです。

マーケティングで悩んでいる方は、今一度、「誰に」「何を」伝えるかを考えてみられることをおすすめします。

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投稿者プロフィール

RumiTamaki
RumiTamaki
マーケティング出版コンサルタント 環木琉美(たまきるみ)
ペガサス出版代表
2013年より電子書籍出版サービスを開始し、特に本の執筆支援を得意とする。テクニカルライターとして過去に商業出版で総部数60万部を出版。豊富な出版経験を活かして、現在は、起業家や小さな会社向けにターゲットを絞り、販売促進の本を提案している。情報化時代の信用・信頼につながる本を、ブログを書くように普通に皆が書けるようになる時代が来ることを願っている。

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