できるだけお金をかけずに本を出版する方法
いつかは本を出版したい、と潜在的に思っている方々はたくさんいることと思います。そこで、現代(2017年現在)における本の出版方法をまとめてみました。
まず、本を出版するには、大きくわけると「お金をかけずに出版する方法」と「お金をかけて出版する方法」の2つがあります。どちらを選択するかは本を出版する目的にもよりますが、単純に考えると、誰だって「お金をかけずに出版したい」というのが本音。いや、「多少かけてもいいけど、かからなかったら最高」と考えてしまいがちです。
最初にお伝えしておきますけれども、現在、素人が本当にお金をかけずに出版できる場合は、「本が多くの人に受け入れられるものである」ことや、「著者の知名度が最初から高い」、あるいは、「売り上げ数字の予測がたつもの」に限られてきます。
また、後述しますが、自分が出した企画がたとえ出版社で通ったとしても、出版する条件として、部数買い取りや広告費の折半などをもちかけられるケースもあります。ですから、限りなくお金をかけずに出版することは簡単ではありません。
といって、紙の出版社が存在する限り、出版社は常に本にする原稿を探しています。だから、可能性はゼロではありませんし、出版社によってはすんなりと出版させてくれるとこもあるはずです。
本を出したい方は、まず方法を知って、自分に最適な方法を検討していきましょう。
Table of Contents
なるべくお金をかけないで出版する方法
1)企画書を作り、出版社に持ち込む
「商業出版」や「企画出版」という言葉をご存じですか? 「商業出版」という言葉がいつから使われているのかわかりませんが、基本、両者は同じ意味を持ちます。本来は、「企画出版」という言葉が使われていて、要するに、「本の企画」を持ち込んで本を出版する方法です。
著者になるにはこれが一番最速です。私がライターとして本を出す話になったとき、やはり「企画書」がきっかけでした。
企画書は編集者の心をゆさぶるものを
出版社は、この企画書を見て、本の売り上げ予測など検討していきます。ですから、この企画書1枚で、「よし、出版しよう!」と判断してもらえるようにしっかりと書く必要があります。
実は、企画の持ち込みはそれほど難しいものではありません。
出版社の代表に電話をすれば、企画書の送付についての案内をしてくれますし、インターネットで調べれば、「企画募集」をしている出版社もあります。
ただ、よく聞く話が、「企画を持ち込んでも何の返事もないし、編集者は目を通していない」というものです。
実際にそうかというと、そうではないようです。ビジネス書で有名なD社の編集者の方のお話を聞いたとき、「ちゃんと企画書は目を通している」ということです。
ただ、毎日膨大な量の企画書が送られてきて短時間でざっと見るので、「目にとまるもの」や「おっ、っと感心を引くもの」に目を通すとのこと。
つまり、この話からも、「企画書ありき」なのです。編集者の心を揺さぶるようなキラリと光るものがあれば、膨大な企画書の中からも選ばれる可能性はあるということです。
ただ現在は出版不況もあって、採用確率としてはかなり低いと思います。
ダメ元でもトライしてみる価値はないとは言えません。
持ち込む出版社を選択することも重要
企画持ち込み時に気をつけたいのは、出版社の選択です。
自分が送る企画書が、相手の出版社が取り扱う分野かどうか、です。たとえば、ビジネス書が得意な出版社に、小説の企画書を送っても採用される可能性はほとんどありません。
ですから、自分が書きたい本と同等の分野を扱う出版社を選んでいくことは、とても大切です。
どんな出版社がどんな本を出しているかは、Amazonや街の書店でも調べられますね。本を出版したいのならば、類書を調べ、出版社を選択することも1つの取り組みです。
出版社主催の企画勉強会などに参加する
一部の出版社では、出版社が主催の出版セミナーを開催し、ビジネスや実用書向けの企画を募集しているところもあります。ビジネス書などの実用書系の本を扱っています。こういうところに企画を持ち込めれば、主催している出版社で本を出版できる可能性が高くなります。
しかし、一見おいしい話のように見えますが、企画が通っても蓋を開けてみたら、共同出版だったということもあるようです。つまり、本を出版するが、一定部数を買い取ることが前提であるなど、結局は本を出版するのに自費出版と同様にお金をかけ必要があるということです。
自費出版社から出版するのとは少し違うのですが、かかる費用は結構なものだとも聞きます。
また、企画が通るまでに時間もかかり、一回目はボツ企画になったとしても、ブラッシュアップして次回に検討してもらえるようなフォロー体制もあります。本を企画出版したい人には近道かもしれません。
企画の旬を逃さないで
いろいろ企画出版の道はありますが、私が思うには、前述した出版社主催の勉強会などで、企画書作成ごときで半年や一年費やすのならば、プロに相談をして企画をまとめ、営業して動いてもらったほうが早いのではないかと思います。そればかりか、今の時代ですから、ネタが冷めないうちに、電子書籍を書いて出版したほうがよいと思いますね。「書きたい」と思ったときが、本を書くのに最適な時期。それを逃して、1つのネタに集中していると、そのうち思考が変化し、何を書きたいかまとまらなくなります。するといつまでたっても、出版は夢で終わってしまいます。
2)出版社主催のセミナーや知り合いのつながりで編集者と知り合いになる機会をつくる
本の企画を出しやすくするためにも、編集者と知り合うことはかなり有効です。出版社の編集者もひとりの人間ですから、接点ができれば企画の相談もしやすくなります。
編集者と知り合いになるには、出版関係のセミナーへ参加してみることは結構有利です。たとえば、出版社主催の出版セミナーや交流会です。東京地区ならばこのような機会は多くあるでしょう。
ただこれも注意したいのが、自分が書きたい本の分野を持つ出版社の方とつながることですね。
まったく畑違いの出版社にアプローチしても意味がありません。
また、大勢が集まる交流会などで知り合う編集者の中には、「僕はこういう分野が得意で、こういう原稿が欲しいなあ」といって名刺交換していた人もいました。自分が全く違う分野だとしたら、その人とつながっても意味がないですね。
もちろん、そこから他の編集者を紹介してもらえることはあるかもしれませんが、ターゲットはなるべく自分が本を出版したいと思う出版社の編集者にするといいですね。
あとは、実際に本の著者と知り合って、編集者を紹介してもらうという手もあります。
しかし、編集者と知り合ったから本が出せるとは限りません。どれだけ知り合いになっても、お情けでは本を出版してもらうことはできません。結局は、「企画ありき」です。
3) 出版エージェントを利用する
始めて本を出版するのならば、「出版エージェント」を活用する手もあります。
出版エージェントはいろいろで、個人でやっている場合もあれば、会社としてやっているところもあります。
エージェントは、本の企画書を複数の出版社に送り、企画を通す代行をしてくれます。といって、通るかどうかはわかりません。それも、「1)企画書を作り出版社に持ち込む」でもお話したとおり、企画書次第です。
ただ、エージェントでは、企画書に対して指導や改善を行うなど、ケアをしてくれるところもあります。
予算はいろいろです。企画が通ったら成功報酬として印税の一部を分配するパターンや、お金を払って依頼するところもあります。
また、ベストセラー作家を育てあげるようなエージェントでは、それなりに予算が必要です。
ただ、エージェントの良いところは、数多くの出版社と取引があるため、ひとりで活動するよりも企画が通る確率が高くなることです。予算は多少かかるかもしれませんが、悪い選択ではありません。
4)読者数を誇れるネット媒体を作る
出版社が本を出すのに重要視するのが「売れる」見込みが立てられるもの。当然、本の読者数が予想できるものです。それを簡単に実現する手段として、ネットで、「人気ブロガー」や「メルマガの著者」などの、あらかじめコンテンツを持っている人を探すのは、もはや常套手段でしょう。
有名ブロガーが本を企画出版しているのも珍しくありません。
だから、ブログを書いてトップをめざすことも一つの方法とも言えるのです。声をかけられるはずです。
とはいえ、すでに蓄積されているものがあればまだしも、何もないとゼロから作らないとなりませんので、あまり現実的な話ではないですね。
ただ、ブログやメルマガなんどのネット媒体では、読者数を予想できます。すると、本を出版する際、どれぐらいの売り上げが立てられるかという目安になりますから、目を引きやすいということがあります。
1つ気をつけていただきたいのは、たいして読者もいない、記事もあまり書いていないブログでも、「あなたのブログを出版しませんか?」という話が来ることがあります。だいたいが、自費出版の勧誘です。調子の良い話には要注意です。
4)自分で電子出版をしてamazonランキング1位を狙う
電子書籍が普及して、書籍の出版方法に少し変化が出てきています。それは、企画を出版社に持ち込む代わりに、自分で本を書いて電子出版をすること。そこで、ランキング1位などを取り人気が出れば、出版社から企画出版の声がかかることも少なくありません。
実際に、Amazonでランキング1位を取った書籍が紙の本として出版され、それもベストセラーになっているという事例もあります。
売れるかどうかわからないという不安もあるかもしれませんが、電子出版する利点は、自分が伝えたいことをまとめて伝えられるということです。本の企画書を練って出版社に持ち込む時間を考えたら、さっさと書いて電子出版してしまえば、それだけ早く物事を進む可能性が高いということです。
たとえ、ランキング1位が取れないとしても、電子出版した書籍を「プロフィール資料」として企画書に添えて企画出版に持ち込めば、あなたの実績が形となって証明されるわけですから、企画成立の話も早いかもしれません。場合によっては、資料となった電子書籍を、内容を再コーディネートして出版という話しになることだって無きにしもありません。
出版社で企画出版を狙うのならば、今の時代は、電子書籍を出版しておくぐらいの勇気と行動力が必要ですね。強力なPRツールですから。
5)公募を狙う
小説や詩、俳句といった文芸モノの原稿であれば、公募を狙うのも一つの方法です。
本屋さんに「公募ガイド」という雑誌が売っています。これには、本の出版に結びつく公募も掲載されていますから、トライしてみるのも良いでしょう。インターネットでも検索すれば何かみつかるでしょう。
ただ、気をつけていきたいのは、「自費出版サイトのコンテスト」。コンテストの内容では、優秀作品は無料で出版します、とうたっていても、もしかしたらオプションとしてお金がかかってくることもあるかもしれません。
また、落選したとしても、「とても素晴らしい原稿なので、共同出版しないか」と声をかけてくるかもしれません。
なるべくお金をかけずに出版することを目指すのならば、自費出版社へは関わらず、これまでにお伝えした方法にトライされると良いでしょう。(自費出版社がダメだと言っているのではありません))
投稿者プロフィール
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マーケティング出版コンサルタント 環木琉美(たまきるみ)
ペガサス出版代表
2013年より電子書籍出版サービスを開始し、特に本の執筆支援を得意とする。テクニカルライターとして過去に商業出版で総部数60万部を出版。豊富な出版経験を活かして、現在は、起業家や小さな会社向けにターゲットを絞り、販売促進の本を提案している。情報化時代の信用・信頼につながる本を、ブログを書くように普通に皆が書けるようになる時代が来ることを願っている。
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