【DTP】書籍のページレイアウトについて




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電子書籍の文章型(リフロー型)はレイアウトフリー
紙の本を作るとき欠かせないのが、原稿をページごとにレイアウトシていく作業です。一般的に、この作業を「DTP(Desktop publishing、デスクトップパブリッシング)」と言います。
一方で、電子書籍には、このDTP作業はほとんど不要です。
原稿はWordで書いたものがそのまま生きていく
というのは、「今さら聞けない電子書籍の基礎」でもお伝えしているとおり、電子書籍において、文章主体のリフロー型タイプでは、画面の大きさによって、ページの文字送りが変わってくるので、常に文章テキストが流動的に流れるようにしなければなりません。
そのため、見出しと文章のフォントのサイズを変更する、また、イラストや写真は1ページずつ挿入する、という程度しか指定ができません。
また、フォント指定も明朝体かゴシック体のいずれかの指定しかできません。
したがって、電子書籍ページは、紙の書籍のようなDTP作業は、最低限(見出しを大きくする、写真やイラストを挿入する)程度です。ですから、Wordで原稿を書けば、ほぼ原稿の元データは完成するといっても過言ではありません。
下記の画像は、リフロー型の電子書籍を(左かから)タブレット、kindle fire、スマートフォンで表示したののです。一見してわかるように、中味はいたってシンプルです。
イラストや画像の挿入について
ただ、文章主体でも、イラストや写真を画像として入れることはできます。このとき、画像にキャプションを付けたり、画像で一連の手順などを説明するときは、それらを1つの画像として作り込む必要があります。
たとえば、左の図は、リフロー型の電子書籍で表現した画像ページです。文章の補足として、手順を説明した内容を1つの画像として作り込んでいます。
リンクを設定できる
電子書籍の特徴として、リンクを設定できることが1つの強みです。リフロー型の電子書籍では、目次の見出しを始め、文章中にもリンクを設定できるのが強みです。リンクのおかげで、読みたいところへ簡単にジャンプできるので、効率の良い読書ができます。
また、外部インターネットへのリンクも貼れますから、電子書籍からWebサイトへジャンプさせることも可能です。
リフロー型レイアウトのまとめ
このように、リフロー型の電子書籍は、タブレットやスマートフォンなど、端末を選ばず常に快適に読めるのは、読者にとっては嬉しいものです。
しかし、紙の書籍に慣れている人にとっては、文字だけのページはやや味気ないと感じる人もいるかもしれません。
だからといって、電子書籍は紙の書籍好きな方にとって、敵でもなんでもありません。電子書籍には電子書籍の良さがあり、紙には紙の良さがありますから、それぞれ必要に応じて使い分けていくのが良いでしょう。
また、現代は、もはやWebサイトも、デザイン重視するよりも、スマホやタブレットにレスポンシブルに対応するデザインが求められる流れになっています。デザインよりも、コンテンツが重要視されます。電子書籍のリフロー型の形態に、抵抗なく入っていく人もかなり増えていると考えます。
フィックス型の電子書籍レイアウトについて
電子書籍には、フィックス型で、ページデザインを固定する形式があります。これは、写真集やイラスト集、絵本などには向いています。
ただ、実は、Amazon kindleでは、文章中心の書籍をフィックス型で表現することはNGです。これは、大きな出版社から出ている書籍(たとえば、IT書籍のように解説手順を複数含まれるものなど)については、フィックス型で出されているものもありますが、Amazonが許可をしているから出版できていると考えます。個人の出版では、文章が主体のものは、リフロー型で出版手続きをしないと、おそらく審査が通りません。
また、フィックス型は、基本、画像データになりますから、リンクを貼ることはできませんし、ファイルサイズが大きくなると、配信コストが嵩んできます。細かい話ですが、kindleで海外展開したときに、海外での販売によって配信コストが収益を上回ってしまうこともあります。
こういった理由で、当事務所では、出版を前提としたフィックス型の電子書籍制作は行っておりません。
紙の書籍はDTP作業が必須
この記事の冒頭でもお伝えしたとおり、紙の書籍を作るときは、ページデザインを作成し、それぞれに原稿をレイアウトしていくDTP作業は必須です。
たとえ、文章主体のものでも、紙の書籍は、Wordで書いたらOKというわけにはいきません。
したがって、POD(プリントオンデマンド)出版は、紙の書籍ですから、データを業者に預けるとき、このDTPを施したデータが必要になります。
ページごとのレイアウトがきちんとできる分、本の中味の見栄えは良いですし、フォントも自由に決めることができますから、洗練されたイメージを作り上げることも可能です。
やはり、このDTP作業も、本の制作の中では欠かせない要素です。見よう見まねで自分でやろうと思えばできるかもしれませんが、ページのみやすさ、読みやすさを考えたフォント選びや行間などのバランスは、センスが問われるところです。
以前に、やはり素人が作ったPOD書籍を見せてもらったことがありますが、ページの飾りがごてごてしていたり、余白と文字に余裕がなかったりして、とても読みにくい印象を持ったことを覚えています。
そうなると、本全体のイメージも悪くなってしまいますから、ここはプロにまかせていきたいところです。
ちなみに、当事務所が制作している紙の書籍は、比較的大きな文字で、読みやすいフォントを使っています。特別に規定を設けているわけではありませんが、最初に作ってもらった書籍の体裁が良く、それを見た他の著者が気にいり、私も同じレイアウトが良い、と、そのまま定番になっていきました。
読者にとって、読みやすいぺージを作ることもまた、当事務所では大切に考えているところです。


もっとも、質の高いものを作る作業は手抜きができませんからね。
投稿者プロフィール

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マーケティング出版コンサルタント 環木琉美(たまきるみ)
ペガサス出版代表
2013年より電子書籍出版サービスを開始し、特に本の執筆支援を得意とする。テクニカルライターとして過去に商業出版で総部数60万部を出版。豊富な出版経験を活かして、現在は、起業家や小さな会社向けにターゲットを絞り、販売促進の本を提案している。情報化時代の信用・信頼につながる本を、ブログを書くように普通に皆が書けるようになる時代が来ることを願っている。
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